ここではUbuntuのPPAリポジトリを追加する手順についてを方法別にまとめておく。Ubuntuソフトウェアセンターについてはこれまで扱っていなかったので、ここでスクリーンショット付きで手順を載せる。
PPAリポジトリを追加することで、標準で提供されていない(パッケージとしてインストールできない)パッケージや、提供されているパッケージの新しいバージョンなどを利用することができるようになる。ただし、特に後者の場合、動作が安定していないものが含まれていたり、インストール済みのソフトウェアの動作に悪影響を与えたりすることもある。
なお、本記事の中で “ppa:[リポジトリ文字列]” としている部分があるが、本記事の要領で代わりに “apt-line” と呼ばれる “deb(-src) scheme://host/path/to/topdir release repo1 (repo2 repo3...)” 形式の文字列を入れることで、Ubuntu以外の他のDebian系のOS向けに公開されているAPTリポジトリを追加することもできる。
リポジトリ情報の取得
Web上の記事に “ppa:[リポジトリ文字列]” の形の文字列が書かれていればそれを指定する。
“https://launchpad.net/~[ユーザID]” のページにある “Personal package archives” のリンクなどからたどれる情報ページでは “Adding this PPA to your system” と書かれているところにこの文字列が書かれている。
リポジトリの追加手順
Ubuntuソフトウェアセンターを用いる方法
起動したら、メニュー “編集 - ソフトウェアソース” を選択する。
“ソフトウェアとアップデート” ダイアログが出るので “他のソフトウェア” タブを選択すると追加リポジトリの一覧が出る。
ここで “追加” ボタンを押すとリポジトリの情報を入力するダイアログが出る。
“ppa:[リポジトリ文字列]” を入力(貼り付け)して “ソースを追加” を押す。
管理者権限が必要な操作ではログインパスワード(ユーザ名が指定されている場合はそのユーザ名のもの)を入力して認証を行う。この後リポジトリの追加とパッケージ情報更新の処理が行われる。
正常にリポジトリが追加されると一覧内の項目が増える。 “(ソースコード)” と付いているものは別途ソースパッケージが利用したい場合にのみチェックを入れる。リポジトリの追加が済んだらこのダイアログを閉じる。
PPAリポジトリを無効化したい場合はチェックの入っている項目を外せばよいが、標準で提供されているパッケージをPPAリポジトリ内のものでアップグレードした場合はPPAによって提供されているバージョンがそのまま残る(対処は後述)。
リポジトリが追加されると “すべてのソフトウェア” の右の矢印部分を押すと出る一覧にPPAリポジトリごとの項目が増えるが、スクリーンショットを撮るために試したところ、調子が悪く、先ほどのリポジトリ一覧でチェックを入れたり外したりしないとうまく反映されないことがあった。
これを選択すると、そのリポジトリ内のパッケージのみが表示され、 “すべてのソフトウェア” を押すと元に戻る。全てのソフトウェアが対象の状態(起動時の初期状態)では、インストールしたいパッケージが決まっている場合はUbuntu標準のパッケージを含む全てのリポジトリから右上の検索入力欄を用いて検索をしてインストールをすることもできる(検索結果が表示されている状態でも “すべてのソフトウェア” を押すと起動時の表示に戻る)。
Synapticを用いる方法
GUIパッケージマネージャのSynapticでは、メニュー “設定 - リポジトリ” を選択すると見出し:Ubuntuソフトウェアセンターを用いる方法と同様のダイアログが表示される。
ここからダイアログを閉じるまでは同様の操作になるが、ダイアログを閉じた後は下の画像のダイアログもしくはメインウィンドウ内の “再読込” のボタンを押して手動でパッケージ一覧の更新を行う必要がある。
その後はパッケージの検索をするか “配布元” ボタンでPPAごとのパッケージ一覧を表示してインストールしたいパッケージを選択後に “適用” をするか、PPAによっては “すべてアップグレード” も行ってパッケージのインストール/更新を行うことになる。
下の画像は “配布元” ボタンを押して配布元ごとのパッケージ一覧からパッケージを選択しているところ。
コマンドを用いる方法
コマンドを用いる場合、add-apt-repository
コマンドでPPAリポジトリの追加を行うことができる。実行すると
- リポジトリの説明
- 本当に追加するかどうかの確認
が出るので、追加する場合はEnterを押す(取り消す場合はCtrl-cを押して終了する)。
add-apt-repository
を実行した後でapt-get
の内部コマンドupdate
によりパッケージ情報を取得・更新することでPPAリポジトリ内のパッケージが利用可能になる。
上記2つはまとめて実行すると楽。
$ sudo add-apt-repository ppa:[リポジトリ文字列] && sudo apt-get update [説明文...] 詳しい情報: [PPAリポジトリの情報ページ] [ENTER] を押すと続行します。ctrl-c で追加をキャンセルできます (Enterを押して追加するかCtrl-cを押して取り消す)
関連:PPAリポジトリの削除と同時にパッケージを自動ダウングレード
標準で提供されているパッケージをPPAリポジトリ内のものでアップグレードした場合、そのPPAリポジトリを無効化もしくは削除してもPPA内のバージョンが残ってしまう。
既存の他のリポジトリのみを用いて自動ダウングレードするところまで含めたPPAリポジトリの削除を行うにはppa-purge(パッケージ名も同じ)というツールをインストールし、削除対象のPPAリポジトリを指定して実行する。
$ sudo ppa-purge ppa:[リポジトリ文字列]
GUIツールでは “ppa:webupd8team/y-ppa-manager” のPPAリポジトリが提供するY PPA Manager(パッケージ名 “y-ppa-manager”)をインストールし、起動後に表示されるアイコン一覧から “Manage PPAs” を選択し、一覧から削除対象のPPAリポジトリを選択して “Purge” を押す。このツールではPPAリポジトリの追加の他、PPAリポジトリの検索など、色々な操作が行える。
- Ubuntuソフトウェアセンター 13.10
- Synaptic 0.81.3
- Y PPA Manager 2015.03.09-1~webupd8~1~tuv